オフィスのレイアウトを決める時には、法規制のことも考えなくてはなりません。今回の記事では、オフィスレイアウトにまつわる法令についてご紹介していきます。どのような法令があるのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。

オフィスレイアウトを検討する前に最低限おさえておきたい法令

オフィスのレイアウトを自分の好みや、社員の希望で自由に変えてしまう会社も多いのではないでしょうか。その変更で、もしかしたら法令違反をしている可能性があります。

まずは、最低限おさえておきたい法令をご紹介しますので、しっかり覚えておくようにしましょう。

・建築基準法

建築基準法は、建築物の設備や構造に関する規則を定めている法律です。排煙設備や建物の耐震性などが法令基準に適しているかどうかが求められます。オフィスのレイアウトでは、オフィス内の「動線」の部分で直接的に関係しています。

建築基準法では、廊下を「片側居室の時は120cm以上」、「両側居室の時は160cm以上」の広さにしなければならないという規定を設けています。よって、オフィスの廊下は、この基準を満たすように設計しなければなりません。

・消防法

消防法は、火事への備えについて設けられている法律です。オフィスレイアウトでは、「間仕切り」を設置する時に、消防法で定められている規定に沿う必要があります。

たとえば、「天井まで届く間仕切りを設置する時は、消防署への手続きが必要になること」は、消防法で定められている規定です。もし、「欄間(らんま)が空いていない間仕切り」をオフィスに設置する時は、消防署への届け出を忘れないようにしましょう。

また、この場合、間仕切りでつくった部屋には、「火災感知器」や「スプリンクラー」を設置する義務も発生します。実際に、オフィスレイアウトを検討する時は、このような法令に違反しないように気をつけましょう。

・労働衛生法

労働衛生法は、社員の作業環境に関する規定を設けた法律です。特に、「気積」と「照明」に具体的な規定が定められています。

簡単に説明すると、「社員1人あたりが働くスペースを原則10立方メートル以上にしなければならないこと」と、「精密作業を行なう時はデスク面の照度が300ルクス以上、通常の作業を行なう時は150ルクス以上にしなければならないこと」が挙げられます。

これは、「十分な空気を吸えること」、「まぶしすぎないようにすること」が、オフィスで働く社員の快適性につながると考えられているために決められています。また、照明に関しては、6ヶ月以内に1回点検する必要があると義務付けられています。

法規制を満たしたオフィスレイアウトの実現で大切なコト

こうした法規制を満たすオフィスレイアウトを実現するためには、社員がネットで調べた情報だけではいけません。ビルによっては特別な決まりがあったり、自治体によっても条例などにより、さまざまな規制があったりします。

さらに、レイアウトによっては、ビル側の工事が多く発生し、コストがかかったりもします。このことを考えると、建築基準法や消防法、労働衛生法に詳しい専門の業者に依頼して、法規制を満たすレイアウトにしてもらうことが大切です。

また、社内に法務担当者を設ける方法もオススメです。ただ、この場合は、レイアウトの設計段階から、法務担当者と連携していくようにしましょう。法規制を満たしていない設計図を作成してしまうと、最初から全てやり直さなければならなくなります。

これは、時間的にもコスト的にもあまり良い方法とは言えません。オフィスレイアウトの変更を検討している経営者の方は、ぜひこの部分に気をつけながら、法規制を満たし、社員が快適に過ごせるオフィス環境をつくっていってください。

まとめ

最後に、あらためて各法令で定められている規定のポイントをまとめます。

建築基準法

・「動線」を意識してオフィスのレイアウトを決める
・廊下は、片側居室の時は「120cm以上」、両側居室の時は「160cm以上」にする

消防法

・「間仕切り」を意識してオフィスのレイアウトを決める
・欄間が空いていない間仕切りを設置する時は、消防署への手続きが必要になる
・この場合、「火災感知器」や「スプリンクラー」を設置する必要がある

労働衛生法

・「気積」と「照明」を意識してオフィスのレイアウトを決める
・気積は、社員1人あたりが働くスペースを「原則10立方メートル以上」にする
・照明は、精密作業を行なう時はデスク面の照度が「300ルクス以上」、通常の作業を行なう時は「150ルクス以上」にする

以上のポイントを参考にして、オフィスのレイアウトを検討していくようにしましょう。